今朝出会った少年の姿だった。


あの時は夜明けであったため薄暗くよくは見えなかったが、少年と今朝の少年とは雰囲気と面影が酷似している。


白く透き通るような肌。


それは今朝薄暗い世界の中では仄かに光っていた。


そうして少年が纏う優しいがどことなく冷たさと儚さを感じさせる雰囲気。


それはまさにあの時紫音が感じたそのものであった。


だから彼女は倒れてしまったのだろう。少年なら大丈夫。そんな気持ちがあったから彼女は倒れてしまった。


紫音は今朝の出来事を思い出しながら、少年を眺めた。


彼女は今朝見えなかった少年の容姿が見えた。


漆黒の美しい短髪。華奢な体つき。


そんな少年―――櫻澤結斗は爽やかな笑みを浮かべた。