余韻が消えた後、門から誰も姿を現さない。
もしかしたら誰もいないのではないか。少女たちがそんな不安感を募らせてその時、
ガタリ
門が動いた。
木が軋む音を鳴らしながら門が開く。
そこから出てきたのは女性だった。
漆黒の黒髪を後ろの低い位置に真っ白なリボンで団子結び。青に近い藍色の着物。その上には真っ白なエプロン。その様は大正時代の使用人をにおわせる古風な容姿であった。
「ご用件は？」
恭しく礼をした後、爽やか笑みで迎えあげる。その笑みに惹かれるように紫音と茜も微笑を浮かべる。
「櫻澤結斗さんに御届け物を・・・・・・」
「そうですか。
では、どうぞ。こちらへ」
女性は恭しく手を案内する先へと向ける。そうして紫音、茜を誘う。
