何故ならデカいから。


それしか言えないほどに櫻澤結斗の家はデカすぎた。


茜もお嬢様であるからそれなりに大きな屋敷には住んでいるが、それ以上に大きいため驚きを隠せずにいる。紫音もまた茜ほどではないが木造建築の屋敷に住んでいるが、その屋敷の2~3倍ほどの大きさがあり、世界の広さを再び実感しているところだった。


隣の家まで行くためにおそらく数分を要するだろう。


和風な塀が数百mいやそれ以上にも続く。紫音と茜の前に立ちはだかる大きな門もやはり木造の和風仕立てで、門に掲げられている木で作られた小さな板には美しい行書で櫻澤と書かれていた。その下には異様に雰囲気を醸し出す真っ白なインターフォンが存在していた。


それはまるで押せというかのように。


彼女たちはそれに負け、恐る恐ると白いインターフォンを押す。


余韻を残しながら音が響き渡る。


その音に自分たちが押したにもかかわらず、紫音と茜は驚いたのかビクリと体が微かに震える。