……。
次は紫音がキョトンとするばんであった。紫音は文字の通り目が点になり、どんな反応をすれば良いか考えるが、思いつかない彼女はとりあえず石のごとく固まりそうな思考回路を頑張って動かし、体の神経を動かし、口を開く。
「いいよ。
じゃあ、地図かいて。
というか誰の家?
うちのクラスに不登校の人いなかった気がするけど……」
「いるよ。
入学式しか顔出さなくて、2年から一度も顔を出してない人が1人。まあ、先生も出席の時名前呼ばないし、誰もその人のこと知らないかもしれないけどさ。
ぶっちゃけ存在感ないし」
静寂は毒舌のごとく言葉をこの場にいない不登校生徒に向け発しながら、シャープペンシルを持つ手をひたすらに紙の上で動かす。紙にはその場で素早く描いたとは思えない図が着々と完成しつつある。
その様を唖然とした表情で見つめる紫音は実に曖昧な様子で相槌をうつ。
そんな間に美しい地図は完成され、静寂から手渡しされる。それと共に静寂は薄い紙の束が渡される。
