薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




「結斗君が何故そんなこと言ったのかは分かりかねない。けどね、貴女には力があるわ。確かに剣術に関してはまだまだだけども、紫音はそれとは別の力があるのよ。それは…心の強さ。貴女は誰よりも強靭な精神の持ち主。確かに以前は成長しきれないままだったけど、今の貴女は違う。結斗君と再会したからかしら、貴女の身に宿った才能が開花した。だから無力ではない。きっと役立つことはある筈よ。

 だからだから……紅華さんを助けて、救って、結斗君と共に」



それは懇願のようだった。


情けなさを抱くように感じる者もいるであろうが、私はそうではなかった。美しい年相応の少女のようにしか見えない。姉ではない。同年代の少女のように見える。自分を見ているようだ。だから……頷いた。