薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




姉は何かと戦っているようだった。まるで…そう今まで信じていた真実を覆したくないでも自分の中にある疑念が解決するなら聞きたい、逆の思いが胸の中で交差し、それを打ち消そうとしているように見える。きっと姉は、私が疑念を抱いている事柄に迫る真実に近づく何かを話そうとしていることを感じているのだ。ならば、ならば聞いてもらおう。穴だって知りたいと思っている。お互い後悔してしまう気がする。だから立ち去りかけている姉の腕を掴み引き留める。



「待って、姉様。聞いてほしいの。前私が結斗君の前で怪我をしてしまった日の事実を」



そこで一瞬だけではあるが、姉の全神経が停止したように感じた。興味を示してくれたのだろうか、そのまま下がり元の位置に座り込んだ。



「で、続きがあるのでしょう。早く話なさい」