少女は実に驚いた表情をして見せた。それはいずれ殺気へと変化していった。
彼女の名は藤岡紫華《ふじおかさいか》という。


紫華の姿は白い着物。おそらく少年が抱きかかえる少女の帰宅の帰宅と同時に眠るつもりだったのだろう。



「紫華様、どうもお久しぶりです。妹さんを無事に連れて帰りました。今は少し」


少年は平和そうに目を瞑る少女を見つめ微笑を浮かべた。



「今は少し眠っているだけです。できればこの子を部屋まで連れて行きたいのですが」



敵対心をむき出しにする紫華にも冷静を装い、優しい微笑を向ける。それによって危害を与えるつもりがないと分かったのか、「どうぞ」と小さく呟き、少年を誘う。