これ以上結斗様を守ることなんてできない。傍にいることなんてできない。
否、できる。私が囮となればよいのだ。闇の世界と化した世界の中で櫻澤家の者が走り回っている。きっとこの付近にも。
ならば知らせをすれば、私が時間を稼いでいるうちに結斗様を安全な場所へ送ってくれるものが来てくれる。
私の懐に入った呪符の一枚。これは緊急事態に仲間を呼ぶために当主様自ら作成したもの。此れを使えば…。
「…ゔ」
自分の体内の住人ではないものが侵入してくる。これは妖の足。
細いが多くのダメージを与えることができる。
私も終わりなのだろうか。これで死んでしまうのだろうか。
結斗様を逃がすこともできず。なんて見っとも無い護衛だ。いつもいつも結斗様の傍に居ながら、1度も役に立ったことがないまま死んでいくのだろうか。
痛さは感じない。死へ向かう恐怖も感じない。感じるのは結斗様もまた死へと向かっている辛さ、悔しさ。
嗚呼、神様。神様がいるのなら助けてください。死と隣り合わせで戦ってきた結斗様にご褒美をください。
