それにしてもらしくないことを言ってしまった。
奇跡にも櫻澤家次期当主である結斗様の護衛となった私。
例え家が本家の護衛として誕生した家でもそう簡単に護衛の役目を担えるわけではない。全てはそう実力がものをいうのだ。
私は結斗様とは、年齢が同じで能力が結斗様の次に優れている、その理由から抜擢されただけ。
もしここで結斗様と年齢がかけ離れていたら、傍にいることなど出来なかった。他の分家の人々の様に本家の人を敬い、畏怖し、影ながらに支えることになっていただろう。そう考えると幸せ者だ。
傍で当主様に仕えたい。結斗様を支えたい。傍でお二人を見ていたい。
そう思っているものが大半を占めているのだ。その中に私もいた。今では結斗様のお傍にいて、守るという幸せな役目を担っているが。
そうだ。私はこれで幸せなはずなのだ。
畏怖。敬意。従順。これ以上の者は抱いてはならないのだ。贅沢なのだ。言葉に表してはならないのだ。なのに私は……。
