薄紅の花 ～交錯する思いは花弁となり散って逝く～

潔く霧澤さんの言うことを聞いて、帰路へと着いている私は、ふと思い当った。先程彼女が話した言葉の意図についてだ。


きっと彼女の言葉に含まれていたのは、私への嫉妬だろう。


きっと彼女は櫻澤君へ強い――を抱いているのだろう。だから余計に立場というものを気にしてしまう。


櫻澤家に関しては家にあった文献の分しか分からないが、色々と複雑になっていることぐらい先程の会話と家の書物で分かる。