薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




冗談には聞こえない。


彼女の双眸は肉食獣が何か食らうかのように感じる。


体全体から殺気を放つ。これは妖に向けての、ではない。確実に私に向けて放っている。


そこには櫻澤君に届けてほしいと言った時の彼女はいない。


恐い。それだけにつきた。なんでこんなに恐いだろう。


恐ろしさを抱いたせいであろう、一歩一歩後退ってしまう。それでも逃げられない。否、逃げたくないのだ。だから数歩後退った後で足を無理矢理止める。



「な、ぜ、そんな……ことを…いう…の」



「それは貴女のことが嫌いだから。羨ましいから。疎ましいから」