霧澤さんだった。
美しい漆黒の長髪は闇に溶け込んでいるのだろう、おぼろげにしか見えない。が、闇の中でも目立つ、燃え盛るように赤い紐によって、ひとつに纏められていることくらいは判別できる。鈍く煌めく刀は下へとさげられている。
彼女もまた驚いているのだろう。
口が開き、何ともみっともない姿になっている。まぁすぐに冷静を取り戻したが。
「なんでこんなところに藤岡紫音、貴女がいるの?」
「えっと、あの気分転換に出て来いと、姉に言われて」
「……そう。それならば早く帰ることね。私が貴女を殺してしまうかもしれないからね」
