俺がなぜあの学校に在籍しているのか。
あそこは櫻澤家に近しいものが運営している学校。ならば全て幼少からずっと御爺様から叩き込まれてきた学習内容を受ける必要などない。自分が出席日数のために行かずとも、進級できる特例を働かせてくれる。ただ定期的に試験を受け、史上最高得点を取らねばならない。しかしそれは簡単なことだ。まぁ人生で1度しかテストは受けておらぬが。
兎に角あのようなところに行く必要のない自分が何故言っているのか。そうならば次期当主として相応しき、剣術等のことをしていればよいだろうに。御爺様はそう仰っているのだろう。
「いいえ。御爺様よりは余裕はありますが、暇ではありませんよ。
何故か分かりませんが、あの学校には妖が頻繁に散策しているようですし。違反者《裏切り者》も思い入れがあるみたいですし。御爺様から下された命を遂行するためには必要かと思いまして」
「そうか。まぁ、結斗は無駄なことをせぬ奴だからな。
間抜けな失態をせぬようにするのだぞ。私は仕事があるから戻る」
「そうですか。行ってらっしゃいませ。家のことはお任せください」
俺の言葉に返事もなく去って行く、御爺様。老齢である筈なのに未だに曲がらない背が頼もしく、威厳に満ち溢れている。だがあの方だって疲労が絶えないのだろう。前見たときよりも、顔色が悪くなっていた。心配だ。
