薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



話を戻そう。

少女―――藤岡紫音を見ると、何故だろう。痛む。怪我などではない。きっと心が痛むという奴なのだろう。


やはり今朝あのようなことを言ったせいなのだろうか。自分もまた彼女へ友人として好意を抱いていたのだろう。だからこのように傷ついているのだ。


それは彼女も同じなのだろう。いつもより顔色が悪い。まだ知り合って日が浅いが、青ざめているくらいは判別がつく。


仕方がないのだ。これから行うことは、彼女にも藤岡家にも関係のないこと。知られてはならぬこと。櫻澤家のみで処理せねばならぬことなのだから。


恐らくそれは処理後に藤岡家に知れ渡ることになる。後々文句だって来るだろう。その過程の中で俺と藤岡紫音が親しき仲だと知れば、火の粉は藤岡紫音にまで飛ぶことになる。それだけは避けなければならない。だから致し方ないことだ。


そうだ。致し方ないことなのだ。