堀江くんは明らかに泣きはらした私の顔を見て


「桜川、泣いてたの?」


と聞いてきた


「泣いてないよ」


「でも、お前の顔…」


と言いにくそうにする堀江くん


「あぁ、ちょっと仕事でミスっちゃって…
誰もいないこの部屋でへこんでただけだよ。
それより堀江くんは?まさかサボり?」


って返すと


「まさか。ここ資料室だから。今、抱えてる物件の資料をね」


「そっか…じゃ私もそろそろ戻ろうかな」


って行こうとしたら


「無理すんな」


って頭をポンと叩かれた


お互いに大学生だった頃、
よく堀江くんにこうして貰ってたっけ?


懐かしいな…


思わず甘えたくなる


私は堀江くんに


「うん」


とだけ言うと部屋を後にした