「また改めて挨拶に来る」
と言って帰ろうとしていた私達に
「待って翔ちゃん。桜川さんと話がしたいの。二人で…」
千年さんが声をかけてきた
今、私は千年さんと庭にある池の前で並んで立っている
池では高そうな鯉が何匹も優雅に身を揺らしながら泳いでいた
すると千年さんが
「本当はね、今すぐこの池に突き落としてやりたいくらい腹が立っています」
「えっ!?」
私が驚いた顔をすると
「さすがにそんな事しませんよ。私だってそれくらいの良識はあります。ただ、あなたさえいなければ、あなたと翔ちゃんが出会わなければ、私が翔ちゃんのお嫁さんになれたのに、とは思っている」
私は何も言えないでいた
確かにその通りだなって思った
私がいなければ、
私と偽装カップルになっていなければ
きっと、千年さんと翔真は婚約者のままだったんだと思う
私が壊したんだ
そう、言われても仕方ないと思った
「でもね、正直ホッとしたのもあるんです」
「ホッとした?」
「そうなの。私ね解ってた。どんなに頑張っても翔ちゃんは振り向いてくれないだろうなって」
千年さんが暮れかけつつある太陽に照らされ
キラキラと輝く水面を見ながら言った
と言って帰ろうとしていた私達に
「待って翔ちゃん。桜川さんと話がしたいの。二人で…」
千年さんが声をかけてきた
今、私は千年さんと庭にある池の前で並んで立っている
池では高そうな鯉が何匹も優雅に身を揺らしながら泳いでいた
すると千年さんが
「本当はね、今すぐこの池に突き落としてやりたいくらい腹が立っています」
「えっ!?」
私が驚いた顔をすると
「さすがにそんな事しませんよ。私だってそれくらいの良識はあります。ただ、あなたさえいなければ、あなたと翔ちゃんが出会わなければ、私が翔ちゃんのお嫁さんになれたのに、とは思っている」
私は何も言えないでいた
確かにその通りだなって思った
私がいなければ、
私と偽装カップルになっていなければ
きっと、千年さんと翔真は婚約者のままだったんだと思う
私が壊したんだ
そう、言われても仕方ないと思った
「でもね、正直ホッとしたのもあるんです」
「ホッとした?」
「そうなの。私ね解ってた。どんなに頑張っても翔ちゃんは振り向いてくれないだろうなって」
千年さんが暮れかけつつある太陽に照らされ
キラキラと輝く水面を見ながら言った



