「相沢永久にとっては、永遠こそ、幸せだったんだ。幸せ、だったんだよ」

吉井くんは静かにそう言うと、一歩前へ踏み出した。

「僕は会いに行くよ、永久に。もう後悔するのは嫌だからね。君は、どうするの?」


振り返って私を見つめる吉井くんに、答えることが出来なかった。

黙ったままの私に、吉井くんは首を振った。


「そう。それで良いんだよ。君は飛ぼうなんて思っちゃいけない。君が飛んだら、永久は幸せになれない。永遠になれないんだ。だから、君は飛ばなくて良いんだよ。そして、後悔もしないで欲しい。ごめんね、僕たち、初めて話すのに」

最後に、吉井くんは淡々とそう言った。

そして、彼はそのままフェンスを越える。