灯火-ともしび-

「…はぁ、俺の予定ではシャツを置いた時点で怒られると思ってたんですけど。」

「え、だって私に服を選ぶ権利なんて…。」

「…夏海さんって微妙に天然ですよね。」

「そんなことないわよ!?」

「そんなことありますって。
…ま、おかげで貴重なシャツ姿拝めましたけど、拝んでますけど。」

「…やっぱり…透けてるのよね…これ。」

「髪から落ちる水も余計透けさせますしね。
…俺としては…色々複雑です。」

「…それについては…なんかごめん。」

「え?」


…なんだか申し訳なくなってきた。
だって別に風馬は根本的には何も悪いことはしていない。
私が、大きく拒絶した…から。


「…怒ってるとか、嫌だったとか…そういうことじゃないの。
ただ、いきなりだったからびっくりしたっていうか…。」

「びっくりさせちゃってごめんなさい。
でも…ほんっとになんか…シャツの凄さにやられちゃって…。」

「シャツの凄さ?」


私がそう問うと、何だか言いにくそうに口を開く。


「…怒んないですか?」

「…怒られるような内容?」

「…大学生男子としては健全だと思いますけど…。」

「じゃあ怒らない。」

「…じゃあ言いますけど、シャツ越しに抱きしめる身体が…あんまり柔らかくって。」

「は…い…?」


これは…ちょっとさすがに恥ずかしい…。
ブラが透けてることも恥ずかしいのにこれは…。