灯火-ともしび-

胸元がいつもよりあいている気がする。


「…ごめんなさい。」


そう言ってすごく悲しそうな顔をした風馬が目の前に居る。


ベッドが軋む。
そして視界からゆっくりと風馬がいなくなる。


「…そんなに可愛くなるなんて…予想以上で…。
…ごめんなさい。」


ただ〝ごめんなさい〟を繰り返す風馬。
そんな彼に手を伸ばし、彼の服を引っ張る。


「…びっくりした、だけ。
びっくりしちゃって起き上れないから…起こして?」

「…触っちゃうと何するか分かんないです。」

「じゃあ…一緒にごろーんってしてよ。そっちにいかれると話しにくい。」

「…俺の話聞いてました?俺、ホント今夏海さんに何するか…。」

「来てくれないと、さっきのこととか全部許さないよ?」

「…それは困ります。」


小さく困ったように笑って、風馬は私の隣に寝そべった。
私は身体の向きを変え、風馬の方を向いた。


「夏海さん、今の俺のなけなしの理性までぶっ壊す気ですか?」

「え…?」

「そのはだけた胸晒して、髪からたれた水分がシャツ濡らしてて余計透けてるし…。
俺、直視すればするほど色々したくなるんですけど…。」

「やっ…あ、そっかボタン!」


私はボタンを一つ止め直した。