灯火-ともしび-

* * *


抱きしめる腕が強い。
…まるで、余裕なんてひとかけらもないみたいに。


髪から水が滴ってシャツを濡らす。


「…風馬…?」


心配になって、私は一瞬緩んだ腕の中で向きを変えた。
彼の頬に手を伸ばす。


「…どうしたの?」

「…どうしたの、じゃないですよ。
我慢できません。」

「えっ!?」


ふわりと身体が浮いた。
身体が持ち上げられ、ポンっとベッドに下ろされる。
風馬が私の上に覆い被さる。
…私、押し倒されて…いる?


風馬の香りが強い。
凄く、危機的状況というか…困っているはずなのに、どうしてなのか、落ち着く。


「んっ…。」


唇が少し乱暴に重なった。


何度も角度を変えては交わる唇に意識が持っていかれる。


「…っ…!やめっ…。」



ピタリと、風馬の手が止まった。
気付けばシャツのボタンが2つ外れ、3つめに手がかけられていた。