灯火-ともしび-

「…っ…！」


気がつくとぎゅっと抱きしめられている。
その胸はやっぱり思っていたよりもずっと大きくて強い。


「好きです…夏海さん…！大好きです。」

「…私も…す、き…。」


まだ彼のように真っすぐは言えない。
つっかえながらでしか言えないけれど、想いはここにあるから。


私も彼の背中に手を伸ばす。
その背中に回した手にぎゅっと力を込めれば彼の心音がぐっと近くなる。


「彼女になってもらえますか？」

「…私、色々分からない事だらけだよ？」

「大丈夫です。俺じゃ頼りないかもしれないけど、夏海さんの嫌がることは…しないつもりです。」

「つもりってなんなのよ…。」

「いや、これでも頑張って抑えてる…んです！」

「…抑えなくていいよ。だってそれが風馬の素でしょ？」

「え…？」


ゆっくりと身体が離れ、彼が私の目を見つめている。


「頑張れることは、ちゃんと頑張るから。」

「っ…それは今言っちゃダメな言葉ですよ夏海さん！」

「えぇ？なんで？」

「なんでもです！じゃないと…。」


ぐっと顔の距離が近付く。


「キスだけじゃ止まれなくなります。」


なんだか焦ったような、もどかしいような、そんな表情。
…初めて見る表情に私の方が焦る。