灯火-ともしび-

「…良かったぁ…。
俺、結構強引に押し切っちゃったじゃないですか?
だから夏海さん嫌々オッケーしてくれたんじゃないかなって結構思ってて。
それに俺だけ楽しみ過ぎてはしゃいじゃってもなぁとか…。」

「いいんじゃない、はしゃげば。」

「え…?」

「その方がらしいし。しっくりくる。」


ふと右を見上げた。
意外と身長の高い風馬は180くらいあると誰かに聞いた。
私は163で、そんなに小さい方ではないけれど、それでも見上げることにはなる。


「…っ…あー…夏海さんに浴衣着てきてもらったの、ちょっと失敗かも…。」

「はぁ?なんでよ?」


それは一体どういう意味だというのか?
そもそもあんたが着て来いって言うから…!


「だって綺麗だし可愛いし…ダブルコンボでなんかもう…あー!」

「ちょっ…うるさっ…!」


顔を抑えて何やらぶつぶつと呟く彼の耳が赤い。
その赤さはなぜか伝染する。


「…耳まで赤いんですけど。」


暑いから?なんて野暮なことは訊かない。


「夏海さんのせいです。…って違うか。夏海さんを好きな俺のせいです。」


ただ、とても単純に彼のこういう言葉運びは嫌いじゃないと、そう思った。