Secret Lover's Night 【連載版】

たまたま空いていた隣のデスクに千彩を置き、その様子を気にかけながら晴人は与えられた仕事をこなしていく。

撮影のみならず、修整処理や合成まで自らの手で行ってしまう晴人は、決して事務所内で暇な時間を持て余しているわけではなかった。

そう、恵介とは違って。

「おい、おっさん。仕事はどないしてん」
「空き時間なので、お前の代わりにこうしてちーちゃんの面倒をみてるわけですよ」
「誰もそんなこと頼んでないんやけどなぁ?」

そう、「たまたま空いている」はずだった隣のデスクは、言わずもがな恵介のデスクで。幸か不幸か撮影と打ち合わせが一件ずつキャンセルになった恵介は、暇を持て余して千彩とオンラインゲームをして遊んでいたのだ。

「仕事をせぇよ、仕事を。何かあるやろ」
「んー?昼食ったら撮影あるから、それまで休憩」
「休憩?お前は一日の仕事時間の内何時間休憩する気なんや!今日かて遅刻したんちゃうんかい!だいたいなぁ…」
「そない怒ったら、またちーちゃんが怖がるでー?」

一気に捲し立て、ハッと出掛かった言葉を呑み込む。

案の定、マウスを握っていた千彩が硬直していて。ヤバイ…と、慌てて取り繕おうとしたけれど、時既に遅し。

「はる…ごめんね?」
「あー、違う。ごめん。俺がごめん」
「あーあ。おいで、マイエンジェル」

ニヤリと笑う恵介に苛立つものの、しゅんと肩を落とす千彩を前に怒鳴るわけにもいかず。思わずため息を零したくなるものの、それも叶わず。

八方塞がりの状態で額に手を当てて頭を支えていると、一度恵介の元へと行きかけた千彩が晴人のシャツの裾をギュッと握った。

「はるぅ?」
「んー。ごめん、ごめん」
「怒ったやーよって言うたれ」
「もうさぁ、お前黙ろうか」

コロコロと椅子を引き寄せて頭を撫でてやると、そのまま腕に絡み付こうとする千彩が何とも可愛くて。これは一種の母性本能なのではないか…と、後頭部を引き寄せて額にピタリと頬を寄せた。