そんな時、開けっ放しにしていたガラス扉の向こうから、ペタペタと足音が聞こえてきた。
「はるー」
「おぉ。おはよう、ちぃ」
「おはよー」
匂いに誘われて起きて来たのだろうか。まだ眠そうに目を半開きにしている千彩が、カウンターに並べられた朝食を覗き込んで物欲しげな表情を浮かべている。
それに晴人はふっと笑いを零す。そんな晴人に擦り寄ろうと、千彩はペタペタと足音を立ててキッチンの入り口に立った。
「料理してるから後でな?」
「んー」
「危ないから」
腕を伸ばす甘えん坊を窘め、ポンポンと頭を撫でてやる。そこに、匂いに釣られたもう一人が、わしゃわしゃとタオルで髪を拭きながら、上半身が裸の状態で戻って来た。
「うまそー!さすがやな、せ…晴人」
「何?お前も食べんの?」
「え?もちろん食べるやろ」
「あんだけ飲んでよぉ食えるもんや」
呆れた顔の晴人にグッと親指を立てると、恵介はそのままキッチンの入口に立つ千彩を抱き寄せる。
「おはよー、マイエンジェル」
「おはよー、けーちゃん。冷たいよー」
ポタリと落ちた水滴に、千彩がグッと眉根を寄せる。それに気付いた晴人が、顔を洗ってくるようにとバスルームへと千彩を促した。
「晴人、コーヒーちょうだい」
「そこに淹れてるやろ。それ食ってさっさと仕事行け」
「はいはーい」
やはり恵介に反省の色はなくて。それにため息の一つでもつきたくなるけれど、昨日の千彩との約束を思い出してそれを呑み込んだ。
千彩曰く、ため息を一つ吐くと、幸せが一つ逃げるのだとか。
あまりにも浮かれて買い物をする恵介を相手に晴人がため息を連発するものだから、それはそれは心配そうに千彩がそう言っていた。
「はるの幸せ、なくなっちゃう。もうため息吐かないって約束ね?」
そう言って小指を差し出され、頷いてそこに自分の小指を絡めて約束した。
そんな不安げな表情は見たくない。と、指切りをしながら切なくなったのは、つい昨日の話だ。
「はるー」
「おぉ。おはよう、ちぃ」
「おはよー」
匂いに誘われて起きて来たのだろうか。まだ眠そうに目を半開きにしている千彩が、カウンターに並べられた朝食を覗き込んで物欲しげな表情を浮かべている。
それに晴人はふっと笑いを零す。そんな晴人に擦り寄ろうと、千彩はペタペタと足音を立ててキッチンの入り口に立った。
「料理してるから後でな?」
「んー」
「危ないから」
腕を伸ばす甘えん坊を窘め、ポンポンと頭を撫でてやる。そこに、匂いに釣られたもう一人が、わしゃわしゃとタオルで髪を拭きながら、上半身が裸の状態で戻って来た。
「うまそー!さすがやな、せ…晴人」
「何?お前も食べんの?」
「え?もちろん食べるやろ」
「あんだけ飲んでよぉ食えるもんや」
呆れた顔の晴人にグッと親指を立てると、恵介はそのままキッチンの入口に立つ千彩を抱き寄せる。
「おはよー、マイエンジェル」
「おはよー、けーちゃん。冷たいよー」
ポタリと落ちた水滴に、千彩がグッと眉根を寄せる。それに気付いた晴人が、顔を洗ってくるようにとバスルームへと千彩を促した。
「晴人、コーヒーちょうだい」
「そこに淹れてるやろ。それ食ってさっさと仕事行け」
「はいはーい」
やはり恵介に反省の色はなくて。それにため息の一つでもつきたくなるけれど、昨日の千彩との約束を思い出してそれを呑み込んだ。
千彩曰く、ため息を一つ吐くと、幸せが一つ逃げるのだとか。
あまりにも浮かれて買い物をする恵介を相手に晴人がため息を連発するものだから、それはそれは心配そうに千彩がそう言っていた。
「はるの幸せ、なくなっちゃう。もうため息吐かないって約束ね?」
そう言って小指を差し出され、頷いてそこに自分の小指を絡めて約束した。
そんな不安げな表情は見たくない。と、指切りをしながら切なくなったのは、つい昨日の話だ。

