涙君に奢って貰った白玉善哉和風パフェを頬張る。含めば餡と白玉がクレープの生地に絶妙マッチ。頬に手を添える。頬が落ちそうだよ!





「おいひ〜!白玉おいひ〜!」

「餅みてえな頬しやがって」

「旨さが半減するからやめたまえ楓君」





そう言うことは美味しく頂いてる人に言うもんじゃないよ。食欲が半減するよ!でも楓君は悪口を言いたくて言った訳じゃないと思う。悲しき本音だ。



やけになりクレームをがっつく。唇やその回りはクリームだらけ。そして出し抜けに涙君が私の唇に指を添えた。





「―…付いてる」





スッとクリームを掬うと自分の唇に宛がい、舐めた。





「―…甘、」





甘さに顔を顰めた涙君。



それと裏腹に私は固まる。



ただ単にクリームを掬って貰っただけなのに厭らしく感じるのは何故だろうか。だってさ、見てよ?楓君だって顔が真っ赤だよ。



顔を真っ赤にさせる楓。甘さが不愉快な涙君。キョドる私。端から見れば変な3人だ。



そして向日葵柄の車の傍で屯する私たちの傍に来る討論会組。





「またテメーはそんなもん食ってんのかよ?ああん?」

「つ、つーくん」





不意に現れた翼。本当にいつも変なとこで現れるなコイツは。私が手に持つ白玉善哉和風クレープを見て悪態をつき始める。



その横からひょこっと姿を現した暢気な籃君。





「お姉さんはハウスダストっつ〜ことで無事決着が付きました〜。めでたし。めでたし」

「どこがだよ」





纏まってねえ!ハウスダスト!?室内の埃!?なら生クリームでもいいよ!更に悪化してる!何この仕打ち!?お姉さんは傷ついた!これっぽっちもめでたくないよ!ハウスダストなんて酷ーい!



ヘラヘラ笑う籃君を軽く睨んだ。それでも笑みを絶やさずヘラヘラしている。難儀な子だよ。





「俺の意見が採用された。蕾さんの部屋は散らかっていたからな。ハウスダストはピッタリだ」

「なんか私に恨みがあんの…!?」





またお前か……!何だかんだ朔君って打ち込んでくる。天然だから悪気が毛頭無いから憎めない。言い返せない悲しき性だ。



ああっ!数分前の和やかムードが恋しい!私と涙君、たまに楓君の華々しい空間。討論会組みたいな騒動もないし。少し4人は煩い。それに4人の討論会の原因が私なんて複雑すぎる。





「蕾さん。もう行きますよ?」

「あ。うん」





クレープを手にしている私に司くんが話し掛ける。手招きされた為私は司くんのほうに近寄る。



しかし何故かそれは私だけ。





「ばいば〜い」





ユラユラと怠そうに手を振る籃君。よく見れば皆こっちに来ない。こっちに足を進める気配もない。司くんに近寄る私を見るだけ。





「え?籃達は来ないの?」

「ちょくら用があんの〜」

「逆だ、籃。寧ろ用があるのはあっちのほうだ」





私達?朔君の言葉に首を傾げる。私達に何の用があるの?



それは私ではなく手招きした司くんが知っている筈だと見上げる。視線で訴えるが呆気なく笑顔でかわされた。そして司くんにニコッと微笑されると有無を言わさない笑みで言われた。





「行きましょうか」





そうして成されるがまま私は司くんに連れられ歩き始める。籃君達と別れると人混みに紛れて行った――――――――――――――‥