こうして僕らは、夢を見る







「で?」

「へ?」




楓君を見ながら微笑ましい笑みを浮かべている(つもりの)私に翼が何かを聞いてきた。咄嗟のことで私は反応出来ず間抜けな声が出てしまう。




「―…はあ。チビ、お前は此所へ何しに来たんだよ。」




再度翼が呆れたように溜め息を付きながら私に聞いてくる。


――――て言うか名前で呼べよ。名前教えたばっかりじゃん。更々呼ぶつもりないだろ、コイツ。







「偶々(たまたま)通り掛かって――――‥」




そう、本当に偶々。


偶々ボールの音が聞こえてきて、偶々その音源に興味を持って、偶々時間が合ったから階段を登ったら、偶々君達が居た。


全部偶然の出来事だった。




「こんなところにテニスコートなんて合ったんだね……」




ジッとテニスコートを見つめる。前から合ったのかもしれないけど私は今日在ることを知った。


何だか未知なる遭遇のようで胸が弾む。




「ま〜ね〜。ここ俺らの穴場」




籃君が肩にラケットを掛けながら笑った。もう片方の手で柔らかい白いボールを触っている。本当にテニスが好きなんだ……。