壱と杉下さんと別れた後の
帰り道、陽呂に聞いてみた。


「ねぇ、杉下さんってさ……」

「あー沙耶? 本当に一途ですよね」


にこにこ笑いながら言う陽呂に疑問。


一途? 陽呂に?
気持ち知ってるの?


「柏原も鈍感ですよねぇ。あんなに態度に出してるのに!」

「え? 杉下さんの好きなのって壱? 陽呂じゃないの?」


『しまった』って陽呂の顔。


「あ……って、え? 俺ですか?」


何か焦って、驚いた。

何焦ってんのよ?
てか、何驚いてんのよ?


「違うの?」

「沙耶は、俺の事、好きじゃないですよ?」

「へぇー」


そーなんだ♪
へぇーそうなんだ♪

顔が緩み、笑みが零れた。


「心菜さん、何か嬉しそうですね?」

「え? そう? ……あっ! 陽呂は? 杉下さん好きじゃなかったの?」

「俺が沙耶を? まさかー」