僕は、ふと、なぜだかわからないけど、この冷たい雪がしんしんと柔らかく降る中やってきた。


 琵琶湖に。


 辺りは雪で覆われ、湖は氷上と化している。

 その氷の上で、綺麗な衣を纏った女性が裸足で舞を舞っている。
 羽衣を腕に絡ませながら氷を撫で、悲しげな瞳で長い栗色の髪を靡かせていた。

 僕は見とれた。

 そんなに厚着もしていないのに、寒さすら感じさせないような舞。

 女性の舞は終演を迎え、ふと視線を僕に向けた。