ロイドは一杯目を早々に飲み干し、二杯目をグラスに注いだ。
 ちっとも酔いが回ってこない。

 酔いの回りを早くしようと、ロイドはタバコを吸う事にした。

 テラスから灰皿を持ち込み部屋の隅でタバコに火を付けていると、ユイがこちらをじっと見つめている事に気付いた。

 煙が嫌いなのかと思い尋ねたら、この香りは好きだからかまわないと言われた。
 ロイドは灰皿とタバコを持ってユイの隣に戻った。

 大きく煙を吸い込んでみたが、全く酔いは回らない。


(もう少し飲まないとダメかな)


 そんな事を思っていると、ユイが肩に頭を付けてもたれかかってきた。
 見ると目を閉じて、幸せそうに微笑んでいる。


「なんだ、もう眠くなったのか?」


 不服そうに問いかけると、ユイは目を閉じて微笑んだまま答える。


「違う。あなたに、くっついていたいの」