「うっかり間違えちゃったんだ。最近、遺跡には行けないし、ロイドが遺跡と研究室を行き来してて、あんまりうろつけないし。退屈だから読みかけの本を取りに来たんだ。それで、どうせユイは真夜中まで帰って来ないと思って、お風呂も済ませようと思ったら見つかっちゃった。ラクロットにさっき聞いたけど、真夜中は明日だったんだね」


 話が終わると殿下は、今夜から部屋に戻るからと、全員を部屋から退去させた。

 ユイはロイドの部屋に行くように命じられ、抵抗を試みたが却下された。

 廊下でラクロット氏が、長い間偽っていた事を詫びた。
 彼にも立場がある。非難する事はできない。


 ラクロット氏が立ち去った後、ロイドはユイをチラリと見て、
「来い」
 と促し、隣の自室へ向かった。


 ユイとひとつ部屋で寝起きを共にするのは、素直に嬉しいと思う。
 殿下が見つかったら、という歯止めもなくなった。