「電車乗れそ、」
何時間か、何十分か、
ただ、行き交う人や車の音を聞き、果歩の頭の重さを心地よく感じながら。
心はぐしゃぐしゃに様々なことで混乱しながら。
果歩の声が聞こえるまでぼやん、とした時間を過ごした。
「よし、じゃ行くか。」
「ん、」
ゆっくりと果歩のペースに合わせて歩き、駅へたどり着く。
「あ」
電光掲示板を見た果歩が間抜けた声を出す。
「終電ない」
「はぁ?まじかよ、」
「え、どしよ。
うわ、え、ぐ…ちょっとトイレ」
とりあえず立ち上がったことによる気持ち悪さが何よりも勝るらしい果歩を尻目に携帯を手にとり、
兄貴に電話する。
果歩が戻ってくると、
眠そうな顔で
「希鷹、帰っていいよ、
行けるとこまで行って始発待つから。」
といつもの調子で言い放つ。
「アホ。
さすがに酔っ払いを置いてけねーよ。うち来い、兄貴に電話しといたから大丈夫、」
「え、、?」
「あ、彼氏、とか、、まずいか?」
そっか。
こいつには、彼氏がいるんだ。
俺がこんな保護者みたいなことしなくたって、。
アホは俺、か。
「へ?てか、蒲田さん、は?」
「困ったときはお互い様、
親友が困ってんだから、助けただけ。
これで怒るならそれまでだろ?」
「…お、う」
酔いのせいかいつも以上にコロコロと表情が変わる果歩に、振り回されている感じが少しイラついて。
少し驚かせてやりたくて手を握り、改札を抜ける。
一分と経たず電車がホームに入ってくる。
手を離すタイミングがわからなくなった。

