催涙雨





ぎゅうっと力強く‥
されど───そっと優しく。



鼻腔をくすぐるほのかな
ムスクの香りに
ある人物が浮かび上がる。



『…きょう…ちゃ……』




その名前を口にしたが
同じときにして
カラダに加わる力が強くなった。



寝ぼけた頭が
さっと冴えてゆく。


寝ぼけ眼をぐっと開く。



目の前にあるのは
───‥ダレカの胸板。