「信じられないが、事実なんだな。現に俺も愚弟も怪我をしても直ぐ治るし、馬鹿力だし、五感が鋭いしな。だが、この世界にも俺達には一応親も知り合いも居る。急に居なくなれば騒ぎになる」


「あはは。そうだねー。俺、父さん母さんとお昼食べてる最中に瞬間移動で此処に来たんだよ。目の前に居た息子が急に消えたらビックリすんじゃない?いくら虐待してくる親でも」


「そんなのは心配無いわ。貴方達がファンタジアに帰る時に貴方達に関する記憶や痕跡は全て消すから」


「それに、この世界では元々魔力が無いのだ。だが魔力が無い世界で、お前たちが消費した魔力は戻らずに枯渇する。いくら魔力が強大でもいずれは無くなる。魔力が枯渇すればそれは死を意味する。お前たちも危ないのだ。だから一緒に来てくれ。我らは大事な者を失いたく無いのだ」

「お願いよ。一緒に来て」
レウとラウはそう言った。嘘を言ってるようには見えない。


俺は、まだ死にたくは無いし、自分達を大事に思いずっと探してくれただろう、この猫たちと一緒に居たいと思った。

「…あまりに突拍子も無いが、行くよ。愚弟はどうする?」


「あはは、俺も行くよー。今より楽しそうだし」


俺達兄弟の答えに猫達は目を潤ませながら、笑顔を咲かせた。