あの日を懐かしみながら空を見上げていて、グレーの空が真っ黒になって。

それでも相変わらず雨は降り続いている。

きゅるる~。

お腹がなっちゃった。

今日は、お姉さんの所で、ケーキを1個食べただけだ。

あれから何時間たった?

「もしかして、帰ってこないとか?」

うずくまりながらあきらめが入ってきた。

ポ~ンッ。

エレベータの開く音がした。

コツコツと歩いてくる足音。

どうせまた、近所の住人でしょ…。

これで8人目。

何度、期待して顔を上げても。

見知らぬ人でため息をついたか…。

小さなため息をつきながら、顔も上げずにいた。

急に足音が止んだと同時だった。

「なんでここに?」

男の声が廊下に響いた。

その声にドキッとして。

パッと顔を見上げると、海翔が眉をゆがめながら立っていた。

ムッと口をとがらせながら。

「遅い!!何時間待ったと思っているの?」

腰に手を当て、ドアの前に立ちはだかった。