秀一と私は、4人の仲のいい家族だった。

父も母もそれは大事にしてくれていて。

私が熱を出せば、一晩中父は病院を探してくれて。

母は、寝ずに看病してくれた。

秀一の幼稚園の運動会とか、家族で応援に行ったり。

秀一が、小学校6年生の終わり頃だった。

父の経営していた不動産会社が、多額の借金を背負って倒産したの。

毎日のように、借金の取立てがきて。

友達は、嫌がらせされるからと離れていって。

秀一は、学校すら行けなくなったの。

だけど尚吾くんだけは、いつもと変わらずひょっこりと遊びに来てくれて。

一緒に宿題をしたり、遊んでくれてた。

それで、秀一も学校に行くようになったある日。

私が用事があって仕事から早く帰ってきたの。

そしたら、父と母が遺書を残して首を吊って自殺しようとしていたの。

借金で借金を作っていたのよ。

雪ダルマ式にね。

私と秀一の生活に、これ以上危害を加えられたくないって。

財産さえ相続しなければ、借金を返す事はないからって。

それを聞いて、私は泣いたの。

私が何とかするから。

だから、死ぬなんてしないで欲しいって。

だって、私が風俗に行けば返せると思っていたから。

そして、私は親に反対されながらも風俗で働いた。

現実は、それだけじゃ追いつかないくらいの借金。

全部で3億円。

それに利息が付いてくるから、利息だけで元金を払う事なんてできなかった。

私も疲れ果ててしまっていたのね。

2年以上、寝る間もなく風俗で働いていたから。

ある日、尚吾君が言ってくれたのよ。

「オレが何とかするから、悲しまないで欲しい。」

だけど、中学生に何ができる?