足元を見ると、あまりの高さにクラッとしてしまう。

グネグネとゆがんで、恐怖を引き立てる。

それでも、負けてなんていられなかった。

ここで一歩を踏み出せなければ、何も変わらない。

ゆっくりと、一歩ずつ確実に歩き出した。

命綱なんてない。

焦らないように、ゆっくりと…

ものの5分だった。

5分が30分にも感じたけど、無事に地面に足が着いたのが。

一安心すると、急いで駅まで向かった。

今は霧生くんに会いたい気持を抑え、お兄ちゃんから隠れるしかなかった。

せっかく脱走出来ても、捕まったら意味なんてない。

ひとまず安全な所に逃げてから、霧生くんを探し出す事にした。