そうだよね?

いつもならテンション高く、お兄ちゃんにくっついたままだもん。

上の空なんて。

今日が初めてかもしれない。

「うん。救世主している人が、昨日お互い連絡取ったらしいんだけど、どうなったか報告くれなくて。」

はあ…

霧生くんのことだけじゃなくて。

こうやってお兄ちゃんに本当のことが話せないのも心が痛い。

「大丈夫。悪い事あれば、すぐに連絡してくるだろ?いい事あったから、連絡してこないんじゃないか?」

柔らかい笑顔を向けてくれた。

さすが!!お兄ちゃん。

その言葉で心のどこかが、少し軽くなった感覚。

…残りは、お兄ちゃんに隠し事をしている後ろめたさだけど。

あと何日かで、霧生くんも冬槻先生と上手くいくし。

隠し事をしなくて済むから。

もう少しの時間だけ…ごめんなさい。

心の中で、小さく何度も謝った。

「そうだよね。もうすぐデートだって言っていたから。悪いことがあれば、連絡くれるもんね。」

「だと思うよ。きっと、その子は、好きな人と連絡していて、紗羽に連絡するのを忘れているんだよ。紗羽だってそうじゃないのか?オレと連絡していて、絢音ちゃんに連絡してないだろ?」

「あっ…すっかり忘れていた。」

霧生くんのことだけ考えていて。

絢音にメアド教えるの忘れていた。

でも、まだ絢音は学校に来てないから。

教えたくても、教えられないんだけどね。