きっと、あたしを誘拐したら、大金でも取れると思った? いくら大きな病院長の娘でも、絶対にないから!! だって、あたしは嫌われてるから。 逆に、いなくなってくれて喜ぶと思う。 だけど、あまりの怖さに。 声にならない。 口だけパクパクと動いてる。 震えて凍りついたように動かない足をなんとか動かして、逃げようと一歩足を下げると。 急回転で後ろを向いた。 「ご飯行かないの?」 聞き覚えのある男の声に、ピタリと足が止まった。 この声…