結衣はケーキを一口食べて、フォークをくわえたまま、その様子に見入る。
 いつもよりは若干ペースが速いが、それほど慌てて食べているようには見えない。
 間に合うんだろうかと、ちょっと心配になる。

 ロイドが半分くらい食べ終わった時、店員が時間を告げた。


「三分経過」


 途端に周りで、歓声が沸き起こった。

 結衣が驚いて周りを見回すと、店中の人たちが半立ちになって、こちらに注目している。

 ロイドって、そんなに早食いだっただろうかと思い返してみる。

 よく考えれば、いつも結衣がワンピースのケーキを食べる間に、彼はワンホールを平らげていた。
 充分早食いだと納得した。

 そんな事を考えている間に、ロイドが最後の一口を食べ終わり手を挙げた。

 店員が素早く器の中を確認し、タイマーを切る。
 それを持ち上げて、経過時間を告げた。