やたらと抱きついたり、眠っている時、無意識に抱き寄せたりするのは、そういう事だろうか。


「あ、まぁ、そういうところもありますね。でも困るってほどでは……」
「そうかね。知らない間に大人になってるもんだなぁ」


 しみじみとそう言って、顔をほころばせるブラーヌは、やはり父親の表情をしている。

 ブラーヌは独り身だと聞いた。
 女性だったら理解できるが、独身男がどこの誰の子かも分からない子供を、引き取ろうと思う心境が、結衣には理解できない。

 ロイドはブラーヌに抱きしめられた記憶がないと言っていた。
 という事は、ブラーヌは特別に子供好きというわけでもなさそうだ。

 どうしてロイドを引き取ったのか、気になったので尋ねてみた。

 ブラーヌは笑いながら、あっさりと教えてくれた。


「あいつが、しがみついて離れなかったんだよ」