ロイドが声をかけても、ブラーヌは顔を上げる事もなく、本を見ながら気のない返事をする。


「あぁ。ちょっと調べたい事があってな」


 以前は王子として挨拶をした事がある。
 だが初対面として挨拶はするべきだろう。

 結衣は横に立ち、笑顔でブラーヌに挨拶をした。


「初めまして。ユイといいます」


 少し待ったが、ブラーヌはこちらを向こうともしない。

 なんとなく気まずくなりかけた時、ブラーヌの枯れ枝のような腕が動いた。
 そして本を見つめて無表情のまま、いきなり結衣の尻の肉を掴んだ。

「きゃあ!」と悲鳴を上げて結衣が飛び上がると、ロイドがすかさず結衣の両肩を掴んでブラーヌから引き離した。