ランシュはロイドとは対照的に、副局長とは仲が良いらしい。
 時々結衣との話題にも上る。


「ランシュって副局長さんと仲良しなのね。もしかして好きなのかしら」
「あんな口うるさい嫁はごめんだぞ。家でまで小言を聞かされたら気の休まるヒマがない」


 勝手に話を飛躍させて、ロイドが不愉快そうに吐き捨てる。

 結衣は思わず吹き出した。

 笑う結衣をロイドが強引に抱き寄せる。


「くだらない事を言って笑っている場合じゃない。せっかく久しぶりに二人きりなんだ。今夜は存分に楽しむぞ」
「え? 何を?」


 キョトンとする結衣の額を、ロイドはペシッと叩いた。



「くっつきたくなるホワイトクリスマスだ。決まってるだろう」


 ロイドはニヤリと笑い、結衣に顔を近付ける。


「望んだのはおまえだ」


 囁くようにそう言って、ロイドは口づけた。

 結衣は目を閉じて、ロイドに身を委ねる。

 窓の外には、満天の星空のもと、静かに雪が降り続けているのだろう。




         Happy, White Christmas.



(完)


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「バイナリー・ハート」終了から数年後の話。
クリスマスストーリーです。
モエのお兄ちゃん、ランシュが何者か知りたい方は、ぜひ「バイナリー・ハート」をご覧ください。