結衣の部屋の中で、靴を履くなと言ってある。
 そのためロイドは迎えに来る時、靴を脱いでやって来る。

 時空移動が日本では怪異な事だと、話しておかなかった自分も悪いとは思う。
 だが、一言言ってから、行って欲しかった。
 案の定、蒼太は目を丸くして、声も出ないほど驚いている。

 少しして再び光と共に、靴を持ったロイドが現れた。


「なっ……!」


 蒼太はロイドを指差して、頭の天辺から素っ頓狂な声を上げる。

 結衣は蒼太の手を叩いて、二人を玄関へ促した。


「指差さないの。車の中で説明するから。あんたの上着、ロイドに貸してあげて。ロイド、暖かい国の人だから、寒いのに慣れてないのよ」


 未だに驚異の目でロイドを見つめながらも、蒼太は上着を脱いでロイドに渡す。
 ロイドは平然と礼を言って、それを受け取り羽織った。