翌朝、早くから目が醒めた。
外が明るいので7時くらいかと思ったのだが、まだ6時にもなっていなかった。
南に来ると太陽まで早起きなんだろうか。
早瀬は起き上がろうとして、捻挫していたことを忘れていて、足に力を入れる。
当然のごとく激痛が走った。
「──ったー…」
しまった、と思い、足首をさする。
だめだ今日は。
歩いて観光出来る日じゃない。
朝食を食べながら、早瀬は「今日は家で休んでおく」と早織に話した。
「お母さんと隆史は、志麻子さんと紅型見てきて」
早織は困惑する。
「でも──私達だけ観光して回るのも…。ねぇ?」
隆史も気遣わしげに早瀬を見る。早瀬はすらりと言い切った。
「お母さんたちまで私につき合って過ごすことないわ。私はすぐに休める場所にいた方が安心するってだけよ。歩いて酷くなっても仕方ないもの」
「でも本当に大丈夫?」
志麻子も早瀬の様子を窺う。早瀬は笑った。
「はい。こんな家でゆっくり出来るなら、それはそれで貴重だし」
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