夏きらら




 早瀬もヘチマをどう調理するのか気になったが、足が立っていられる状態ではなかった。

 祈が早瀬を振り返り──声をかけようとして、気づいたように言った。

「え…と。足…怪我したの?」

 早瀬は苦笑した。

「うん。ちょっと。『ナーベーラー』興味あるけど。ごめんね」

「ううん。ゆっくり休んでて」

「隆史、料理だけは下手だから、よろしくね」

「早瀬、その言い方って」

「大丈夫だよー。うちの畑でとれたナーベーラーだから、美味しいよー」

 会話が何処か可笑しい。

 志麻子と早織は笑っている。

「そういえば、隆史くんと早瀬ちゃんも中学2年なのよね?祈くんも中学2年なのよ」

「え…そうなんだ」

 祈はとなりに立つ隆史を見上げる。160そこそこの身長の祈に、170は軽く超える隆史は、顔立ちや雰囲気からしても歳上に見える。

「いいな…。かっこいいね」

 祈の言葉は素直な響きを持っていた。隆史は同い年の男子にそう言われて照れてしまい、口ごもってしまう。

 それを見ていた早瀬が笑った。

「なーに照れてんの隆史。祈、その優等生、いじり倒していいから」

「い、いじり倒す?」

「倒さなくていいし。祈、あのお姫様、ああいう顔して、Sだから」

「そ、そうなの…?」

 あっさり隆史と早瀬が『祈』と呼び捨てにしていたり、祈もそれに違和感を感じていないあたり、お互いに親近感はあるようだ。

 同い年の話が出たのが良かったのかもしれない。



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