マスターから子守を頼まれてはいるものの、何をしても何の反応も返さない息子に、私は焦りを感じていた。




「お茶はいかがでしょうか」


「のど、かわいてないからいい」




「今夜のお食事で何かご要望はありますか?」


「べつに」




「勉強をなさっておられるのですか、何かお手伝いは……」


「いらない」



終始このようにそっけない反応しか返されない。

そして、彼が笑っている姿は、あの日以来見ていない。