ガサリ…

リュートの頭のすぐ横で茂みが音を立てた。

ゆっくりとした歩調で姿を現したのはガルだ。

「おい、んなところで寝るな。
手がかりがねーならさっさと島を出るぞ、色気も何もあったもんじゃねぇよ。」
ガルはリュートの頭をつま先で軽く小突いた。

「って!なんだよ、そんなに急がなくたっていいじゃねぇか、俺は出鼻くじかれて落ち込んでんだよ。」

「はっ、お前がそんなタマかよ。」

ガルは寝転んだまま言うリュートの言葉を鼻で笑い飛ばした。

ガルは2人より2つ年上で体も大柄、金髪の髪をオールバックにセットし、黒いパンツの裾をごついブーツの中にねじ込んでいた。
かなり男臭い。


「とにかく、ここにいてもしょうがないわ。
この近くに島があるから、そこでもう一度情報収集しましょう。
えっと…島の名前はテラカイズ島ね。
ほら、行くわよ!リュート。」

ニーナが地図をたたみ、立ち上がりながら言う。

「ん、しゃーねーな。行くかっ!
目指すはテラカイズ島だなっ!……よっとぉ!」

リュートは全身のバネを利用して飛び上がる。

ガルはもう船に向かって歩き始めている。

空に向かって両腕を伸ばすと一陣の風がリュートの頬を撫でていった。