シドの船が見えなくなり、4人は黙って樽に腰掛けていた。

「あのっ…」

シーファが意を決して顔を上げる。

「神殿には必ず行く、約束は守る、だから…だから…国に連れていって!お願いっ。」

「いいわよ。」

「海に出るのを諦めたわけでも王になるつもりもないわただ、父とリュートが心配で………………………………え?今…」

シーファがとぼけた顔を見せた。3人は笑っていた。

「だから、いいわよ。あんなの聞かされてまだお宝だなんて、言えないわよ。ねぇ?」

「ああ。」
「当然だ。なんだその顔。」

「え?だって…私のワガママだし…その……ありがとう。」

シーファは深く頭を下げた。

「よし!じゃあ目的地はトイス王国に変更だな!」

船はトイス王国に向かって走り出した。

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「そうだ、命を助けてもらったの、まだお礼言ってなかったね。ありがとう。」

「そんなの当然だろ?仲間なんだし、なぁ?」

得意気に笑うリュートにシーファは笑みを送るが、ふと首を捻る。

「でも、なんでガルに話した事を知ってたの?」

「え゛?
お、俺だけじゃねえぞ!ニーナだって聞いてたんだ!」

「バカっ!余計な事を…」

ニーナが頭を抱えてうなだれる。

「お前ら…立ち聞きとはいい度胸だな…」

「だってよ、いいムードだったし?ちゅーぐらいするかな〜って……」

リュートの頭に大きなコブが2つできたことは言うまでもない。