「でも、こういう名前って珍しいわよね?どこの国の人なの?」

「ずーっと東の島国よ。漢字って言うんだって。
何でも『万』は一万回、百万回の万で、『周』は一周、二周の周、どっちも数を表すの、で、何万周も海を渡れるようにって事で海を付けて『万周海号』になったの。でもね〜」

ニーナがリュートを見る。

「こいつが言いにくいって勝手にマシューって呼んでるの。」

「なんだよ!お前らだって万周海号なんて呼んだことねえだろ?
長くて呼びにくいのはこうして愛称付けるのが一番なんだ。お前だって嬉しいよな?マシュー!」

リュートはもう一度船首を叩いた。
そんな姿を見てシーファは笑った。

「そうね、私もシーファの方がいいもの。
よろしくね、マシュー!」

シーファも同じように船首を叩いた。


「よーし、話しはそれくらいにして飯にするぞ、テーブルを出せ。」

キッチンからいい匂いが立ち上ぼり、ガルが皿を抱えて出てきた。

ニーナが折り畳み式の机を甲板の収納から出すと、リュートがテーブルクロスをかけた。
次々と運ばれてくる料理に飲み物は4人分。
椅子代わりの樽にそれぞれ腰掛け、それぞれのグラスを手に取る。

「じゃあ、何度目かの出港と、お宝の手がかり、それから…新しい仲間に!」

『乾杯っ!』

グラスのかち合う音が海にこだました。
楽しい宴会の始まり。ガル自慢の料理への賛辞。笑い声が絶えず、話しに花が咲いた。

「ねぇ、今まではどんな旅をしてきたの?どんな宝を見つけたの?」

質問攻めのシーファに3人はこれまでの事を話した。
海に出るきっかけ。初めての島に、依頼。出会った人達に出会ったお宝。
全てが聞いたことない話ばかりで時間を忘れて聞き入った。
中でも一番シーファの興味が注がれたのは3人の持つ伝説と云われた武器の話だった。