その目を見て、満足そうにガルは笑った。

「なら、胸を張ればいい、あんたが子供達を大事に思っているのは、話している姿を見ればわかる。
俺以上に子供達はわかってるはずだ。
本当の家族なら、家族の夢に反対したりしないだろ?」

「…………」

ガルの顔を見上げたまま固まっているシーファの目の前で手を振ると、はっと我に返って、うなずいた。

「え、ええ、そうね、そうよね!
ありがとう、なんだか気が楽になった…」

「いや…昼間、あんたが俺に言ってくれた事を返しただけだ。」

首をひねるシーファに続けて…

「俺の料理好きを笑わなかったのは、あんただけだったからな。正直、あれで気が楽になった。」

「そう…だったの?」

ガルがうなずくとシーファは目を輝かせた。

「父が昔、言ってたの!
『誰かの為にした事は、必ず自分の元に戻ってくる。人を救ったならば、必ず自分も救われる日が来る。』
って!この事だったのね!」

嬉しそうな顔を見ているとこっちまで暖かな気持ちになる、そんな笑顔だ。

「ありがとう、ガル!何度感謝しても足りないわ!」

「…じゃ、次は俺が感謝する事が起こるんだな。」

「そうね!やっぱり、ガルはいい人よ!」

シーファは子供のようにはしゃいでいた。自分の感情に素直な所、それはリュートに良く似ていた。

「そうだ、リュートなんだが…」

「まだ、怒ってた?
私、本当に海宝堂が素敵だと思ったの。その気持ちは嘘じゃないの。」

「大丈夫だ。ニーナも言ったようにあいつは単純だからな、お宝の事でもう頭は一杯だろう。
それにバカじゃないからな、あんたが自分と同じくらい海が好きなのもちゃんとわかってるさ。
だから、気兼ねしないでやってくれ。」

「…分かった。
それじゃ明日の為に、寝ましょうか?」

「ああ、そうしよう。それじゃ…」

「あ、あと1つ。ガルはさっきの話の時、何を怒ってたの?」

ずっと気になってて…というと、

「あんたが死んだと早とちりした自分に腹を立てていた。」

そう答えたガルに笑顔だけを返してシーファは部屋に戻った。